4月

理由はよく分からないですが、
パンデミック、クラスター、オーバーシュート、ロックアウト、
ソーシャル・ディスタンス、ステイ・ホームといった、
横文字カタカナ語が多用されながら、コロナのニュースは伝えられました。

僕は以前すこし首を痛めて、週に一度整形外科に通っているのですが、緊急事態宣言が出されてから、
毎回受付で(額から熱を測って)検温され、密集を避けるよう配置された、待合室の椅子に座ることになりました。
病院帰りに、混雑時は入場制限し始めたというスーパーへ行くと、レジには飛沫感染防止のビニールシートが垂れ下がっていて、
いつか観たSF映画のようなことが、現実に起こっているように感じました。

「いまは重要局面。責任ある行動を」「人との接触を最低7割、極力8割減らそう」と国が呼びかけたり、
「いまの感染者の増加の仕方は、感染爆発寸前」「このままじゃ42万人死者が出る」と発表する専門家もいたり、
またネット上では、「感染を広げている若い奴らは動き回るな」という年配者と、「年寄りはそもそも出歩くな」という若者とが非難し合うなど、危機感から人間関係にひずみが生まれたりしているので、
いまは普通の日常ではなく、まさに非常時なんだと実感しました。

でも大事なのは、ここでネガティブにならず、「非常時にどうふるまうかに、人間性や品が出る」と考え、気を引きしめて前を向くことだと思ったりもしました。

しかし、コロナで常識をゆさぶられ、感受性がおかしくなっている部分が僕にもあって、正直、前向きになれそうな気分ではありません。

僕が長年勤めているアルバイト先も、自粛しながらの営業になり、仕事がほとんど休みになりました。
家でテレビを観ていても、「いま抱きしめることはできないから、一人一人が手ではなく、心でつながろう」のような、むなしい言葉や、
「密集阻止、密閉阻止…」のような、よく分からない早口言葉を聞かされたり、
アスリートが上げた動画を観せられて、(やたらとみんな動画をやりたがるように思えたので)やっぱりアスリートは、目立ちたがり屋が多いんだなと余計なことを考えたりして、気が滅入り、

ひとりで家にずっといると、ウツや、人間不信というような、よくない深みに陥りそうな、いやな予感がしてきたので、それを回避する方法を探し始めました。

そして結局、「いま困っている飲食店の助けにもなる」という名目で、ステイ・ホームというルールを破らせてもらい、ウーバーイーツをやることにしました。

<5月に続く>